二重譲渡?架空債権?ファクタリング利用時の禁止事項

ファクタリングはスピーディーな資金調達ができ、審査も銀行融資などと比べて緩いことから中小企業の救世主的存在ともいえる資金調達方法です。

しかしそうした使いやすさを逆手に取って、ファクタリング会社を悪用しようと考える利用者も少なからず存在します。

今回は二重譲渡や架空債権といったファクタリングの禁止事項について詳しく解説します。

なぜやってはいけないのか、やったらどうなるかについても詳しく解説するので、利用を考えている方はしっかりと読み込み肝に銘じておいてください。

ファクタリングの悪用はなぜ起こる?

ファクタリングの悪用が行われる背景には、「法整備の不備」があります。

ファクタリング自体は違法な資金調達手段ではありません。

金融庁や経済産業省も利用を促進しているほどです。

【売掛債権の利用促進について(経済産業省中小企業省)】

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2004/download/040203urisai_panhu2.pdf

中小企業における資金調達の課題(経済産業省)】

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h19pdf/20073801.pdf

ですが実は、ファクタリング自体を詳しく規制する法律は現在ありません。

今後は法整備が進むと考えられますが、現状ではまだまだのため、盲点をついて悪用する会社が後を絶たないのです。

特に中小企業でメインに行われている2社間ファクタリングでは、お互いの善意に基づいて行われているといっても過言ではありません。

そのため、片方が悪意を持つとあっさりと悪用されてしまうのです。

ファクタリングの禁止事項①二重譲渡

ファクタリングにおける二重譲渡とは、売掛金を2社(もしくはそれ以上)のファクタリング会社に売ってしまうことを指します。

悪質なものになると、3社、4社と多数の会社に売掛金を売却し、何回も売掛金を得ようとする会社もあるようです。

二重譲渡は取引先に通知がいかない2社間ファクタリングで起こりえます。

売掛金は商品や手形、小切手のように目に見えるものではないため、譲渡済みなのか判断できないことからこうしたトラブルが生じます。

ファクタリングの禁止事項の中でも最も行われることが多いトラブルといわれており、故意にではなく悪気なく行ってしまう利用者もいるようです。

二重譲渡を防ぐために、2社間ファクタリングでは「債権譲渡登記」が必須となっていることが多いです。

しかしすべての会社で債権譲渡登記を行うわけではないこと、意図的に登記を取り消すことも可能なため、完全に防ぐことは難しい状況です。

  • 二重譲渡を行うとどうなる?

二重譲渡を行うと、後々必ず発覚する上、取引先を失ったり罪に問われたりする可能性があります。

仮に二重譲渡により、実際の売掛金以上の金額を手にしたとしても、売掛金の支払期日には確実にバレます。

二重譲渡が発覚すると、ファクタリング会社は売掛金を回収するために2社間ファクタリングであっても取引先に通知を行います。

そのため、取引先は売掛金売買の事実を知ることになり、二重譲渡の事実から利用会社への信用を失います。

そのため二重譲渡を行うと取引先がなくなると思っておくべきでしょう。

さらに二重譲渡は「委託物横領罪」もしくは「詐欺罪」にあたります。

これは故意でなくても同様です。

ファクタリング会社が告訴した場合は犯罪として罪に問われるということも覚えておきましょう。

ファクタリングの禁止事項②架空債権

ファクタリング関係のトラブルで最も悪質といえるのが架空債権です。

架空債権とは、架空の債権をでっちあげてファクタリング会社に買い取ってもらうことです。

より悪質になると、取引先と共謀して架空債権を作る会社もあります。

請求書や決算書などを偽造、粉飾、捏造して持ち込むケースが多いようです。

  • 架空債権でファクタリングをするとどうなる?

架空債権でファクタリングを行っても、支払い期日には必ず発覚し、「詐欺罪」や「私文書偽造罪」などの罪に問われます。

架空債権で一時的にお金を手にしたとしても、支払期日にファクタリング会社に入金できなければ必ず発覚します。

その代わり、支払期日にきちんと入金すれば問題は露見しません。

(とはいえそもそも資金が準備できるような会社であれば架空債権などに手を出す可能性は低いのであまり現実的な対策とは言えないでしょう。)

また売掛先に隠して架空債権を作った場合は売掛先に通知が行き、迷惑が掛かります。

当然信用は損なわれますし取引停止もまったなしでしょう。

架空債権は特に悪質であることから、刑事告訴される可能性も高いです。

決してしないようにしましょう。

ファクタリングの禁止事項③虚偽の申告

審査時に印象を良くしたいと思い、会社の財務状況や経営状態について虚偽の申告をしたくなる経営者の方もいると思いますが、当然ながらこれもしてはならないことです。

・虚偽申告を行うとどうなる?

ほとんどの場合、審査時についた嘘はすぐバレます。

ファクタリングの審査では、データバンクなどの信用情報機関で必要な情報を抜き出すことができるためです。

嘘をつくとファクタリング会社への心証が悪くなり、手数料を高く設定される可能性もあります。

悪質なものならば取引を断られ、今後も取引できなくなるおそれもあります。

ファクタリングの禁止事項④売掛金の使い込み

2社間ファクタリングでは、売掛先から売掛金を入金されたら申し込み会社がファクタリング会社に渡すというステップをふまねばなりません。

しかし経営が苦しい状態では、入金された売掛金を使い込みたくなるのも無理はないかもしれません。

ですが当然ながら売掛金の使い込みは契約違反です。

なぜならば契約した段階で売掛金の所有権はファクタリング会社に移っているためです。

・売掛金を使い込んでしまうとどうなる?

契約違反であり、「横領罪」として罪に問われる可能性もあります。

また売掛先に通知されることもありえるため、取引先の信用をなくし取引停止となることもあるでしょう。

まとめ:悪用は絶対に禁止!追い込まれる前に見直しを

今回のコラムでは

  • ファクタリングにおいて、二重譲渡、架空債権、虚偽申告、売掛金の使い込みは絶対に禁止
  • ファクタリングを悪用したら犯罪になる可能性も

という点について解説しました。

犯罪に手を染めようと思う前に、自社の財務状態や体質を見直すことが重要でしょう。

今回紹介した禁止事項は悪気が無くても決してしてはならないことです。

その点を肝に銘じて利用するようにしましょう。

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