事業主が知っておきたい資金繰り改善方法8選を紹介
資金繰りの悩みを常に抱えているという経営者も多いのではないでしょうか?資金繰りは事業の継続に影響するため、すべての経営者にとって重要な問題です。この記事では資金ショートが起こる原因と、8つの資金繰り改善方法を紹介しています。資金繰り改善方法や、資金がショートしたときの対策について知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
資金ショートが起こる原因
資金ショートとは、手元資金が不足しているため商品仕入や設備購入費、公共料金、税金といった費用の支払いができなくなる状態のことです。
資金ショートは以下のような場合に起こる可能性があります。
- 売上が急減した
- 甘い資金繰り管理
- 売掛金の回収でトラブルが発生した
- 自然災害など
上記の原因のうち1つでも発生すれば資金ショートが発生する可能性がありますが、それぞれの影響は小さくても複数の要因が重なって起こることもあります。
資金ショートの原因について詳しく見ていきましょう。
売上が急減した
風評被害や、会社の不祥事などで売上が急減すると、将来的に受け取れる現金も減少します。売上が回復しなければ従来よりも手元資金が少なくなるため、支払いに充てる現金が不足する可能性が高まるでしょう。
甘い資金繰り管理
売上や利益に気を取られ、必要な支払いを済ませた後に残る自由な資金がいくらあるか把握していないといったケースを指します。
資金繰り管理が甘いと、支払余力があると思って大きな設備投資をしたものの、実際に支払時期が近くなってようやく資金がショートしていることに気付くということがあります。
売掛金の回収でトラブルが発生した
売掛金を計上しても、実際に回収しなければ実際の利益にはなりません。仮に取引先が倒産したり、経営状態が悪化したりして売掛金が回収できないと、資金ショートする可能性が高くなるでしょう。
自然災害など
自然災害で自社の建物や商品が損害を受けた場合、修理代や再調達費用などで支出が増加してしまいます。自社の業態にあった火災保険や賠償責任保険に加入して備えておく必要があります。
黒字経営でも資金ショートする原因
資金ショートは、黒字経営であっても起こり得ます。例えば以下のようなケースです。
- 信用取引
- 大規模な設備投資
- 過剰在庫
以下詳しく解説します。
信用取引
取引では商品を販売して、お金を受け取れば金銭のやり取りは終了します。しかし取引量が多い場合、取引のたびに代金の支払いや受取をするのは非効率です。
そこで商品を売ったり買ったりするたびに決済するのではなく、代金をつけておいて後からまとめて支払う、あるいは受け取る取引のことを「信用取引」または「掛取引」と言います。
しかし潤沢な資金がないにもかかわらず信用取引をすると、代金の受取日より前に設備投資や仕入代金の支払い時期が訪れ、結果的に資金がショートすることがあります。
大規模な設備投資
事業を営んでいると、将来的な売上拡大を図るために、大規模な設備投資をすることもあるでしょう。しかし大規模な設備投資をしたにもかかわらず、売上が見通しを大きく下回ると、支払資金が枯渇してしまう可能性があります。
過剰在庫
過剰在庫を抱えている状態は、仕入代金だけ支払って売上が回収できていない状況です。その他の売上でカバーしないと、資金ショートが生じる可能性が高いでしょう。
事業主が知っておきたい資金繰り改善方法8選
資金ショートに至らなくても、資金繰りが厳しい状態は改善する必要があります。ここでは資金繰りの改善方法を8つ紹介します。
資金調達をする
次のような資金調達方法を活用すれば、資金繰りを改善できる場合があります。ただしファクタリングとビジネスローン以外は手続きに時間がかかる傾向があるため、早めに申し込みましょう。
- 銀行融資
- 助成金・補助金
- 制度融資
- クラウドファンディング
- ビジネスローン
- エンジェル投資家からの出資
- ファクタリング
資金繰り表の作成
資金繰り表とは事業における一定期間の収入と支出を管理する表のことです。資金繰り表を作成することで、手元資金で必要な支出を賄えているかが一目瞭然になります。また毎月作成することで、収入や支出の多い時期も把握できるため、事前に対策を立てることもできます。
在庫管理の徹底
在庫を多く抱えすぎていると、保管費用がかかる他、劣化によって廃棄しなければならないこともあります。
各商品の販売傾向を把握して適正な在庫管理を行うことで、仕入れから現金化までのスピードが早まり、資金繰りが改善します。
ただし各商品を発注してから入庫するまでのリードタイム(所要日数)を把握しておかないと、欠品が発生して売上減少につながることもあるため注意が必要です。
経費の削減
先に紹介した資金繰り表を作成しておくと、どのような支払いにいつ・いくらかかるかがすぐに分かります。家賃や人件費、通信費、広告宣伝費、消耗品費などの経費を見直すことで、資金繰りが改善するでしょう。
仕入先・販売先の見直し
資金繰りが厳しいときは、現状の仕入先と仕入価格の見直しを交渉しましょう。交渉で折り合いがつかなければ仕入先の変更が必要かもしれません。また仕入価格も仕入先も変更ができないときは販売する側に、納品価格の値上げを交渉することになります。値上げに応じてもらえないときは販売先の変更も検討が必要です。
また販売する商品を、利益率が高いものに集約するという方法もあります。
自社に有利な入金と支払いタイミングを設定する
取引先からの入金はなるべく早く、こちらからの支払いはなるべく先に延ばすことで資金繰りが改善できる可能性があります。交渉すれば売掛金の入金を早めてくれる、あるいは買掛金の支払いを待ってくれる取引先があれば、交渉してみましょう。
また経費を法人カードで支払うと、支払日が実際に決済した日ではなくカードの利用代金引き落とし日になるため、支払日を先延ばしにできます。
借入金の金利や返済方法を交渉する
金融機関に借入条件の変更を交渉する方法です。毎月の返済額の減額、返済期間の繰り延べなど、返済条件の変更に応じてもらえる場合があります。
ただし金融機関と交渉するには、経費の削減や収入の見通しなどを含めた経営改善計画の提出が必要です。
不要な資産を売却する
自社で保有している土地や建物、機械、車両といった資産のうち、不要なものがあれば売却して現金化しましょう。近年ではファクタリングという方法で、売掛債権を売却することで実際に売掛金が入金されるより早いタイミングで現金化することも可能です。
ファクタリングは手数料がかかりますが、早ければ即日現金化できます。またファクタリングの審査では取引先の信用力が重視されるため、銀行融資の審査に落ちた場合や、債務超過でも利用できる可能性があります。
さらにファクタリングは多くの場合、現金化したあとに売掛金が回収できなくても、利用者が回収リスクを負うことがありません。つまり売掛債権の未回収リスクに備えることもできるのです。
まとめ
事業を継続していれば、売上が急減した、取引先が倒産した、自然災害で損害を受けたなどの理由で、資金繰りが厳しくなる時期もあるでしょう。資金繰りが厳しくなることが予想されるときは、本記事で紹介した資金繰り改善方法を活用してください。
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この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー:金子 賢司
1975年4月5日生まれ
1998年立教大学法学部法学科卒業
株式会社菱食(現三菱食品株式会社)に勤務
生命保険会社、損害保険会社を経てファイナンシャルプランナーとして活動中。
保有資格:FPの最上級資格CFP資格保有者
(CFPライセンス番号:90260739)
所属団体:日本FP協会
WEBサイト;https://fp-kane.com/