円安で資金繰りが悪化したときの対処法は?注意点も解説
急激な円安により、資金繰りが悪化したという事業者も多いのではないでしょうか?なかには銀行融資を受けるのはもう難しいという方もいるかもしれません。この記事では、為替が変動する仕組みや今後の為替の見通しや、資金繰りが悪化したときの資金調達方法について解説します。
米ドル円の為替レートは約4年間で50円以上も円安に
近年、外国為替市場では円安が進んでおり、2024年7月初めには1ドル162円台に迫るなど、37年半ぶりの水準まで下落しました。2021年9月時点では1ドルがおおよそ109円であったため、約4年で50円以上円安になったことになります。
この4年間で、多くの事業者が円安への対策を迫られたのではないでしょうか?
ただし、その後円高傾向に逆転し、2024年9月初時点では146円台となっています。
【2021年の為替レートのおおよその推移※】
2021年9月 | 2022年9月 | 2023年9月 | 2024年9月末時点 |
109円 | 138円 | 145円 | 146円 |
円安が進行した要因と今後の見通し
急激に円安が進行した要因として、アメリカの政策金利の上昇と、経常収支の悪化が挙げられます。また今後の為替の見通しについても本章で解説します。
アメリカの政策金利の上昇
新型コロナ禍から経済が急回復し、記録的なインフレ局面を迎えていたアメリカは、物価上昇を抑え込むために2022年3月16日に政策金利の引き上げを発表しました。その後もインフレはなかなか収まらず、政策金利の引き上げを急ピッチで行っていきます。
しかし一方で、日本は金融緩和路線(超低金利政策)を継続し、日米の金利差が拡大していきました。
お金を運用するという立場で考えると、金利が高い通貨と低い通貨であれば、金利が高い通貨のほうに人気が集まるのは当然のことです。ドルと円の金利差拡大に伴い、ドル資産を購入する人と円を売る人が増加し、急速な円安ドル高を招くことになりました。
経常収支の悪化
ロシアのウクライナ侵攻の影響で、原油や天然ガスなどのエネルギー価格が急騰し、経常収支が悪化したことも円安の要因となっています。
経常収支とは貿易やサービス、投資による日本と海外のお金の出入りを表す指標です。エネルギー価格の急騰により、エネルギーの大半を輸入に頼る日本の貿易収支が悪化し、経常収支悪化の要因となりました。
経常収支が悪化しているということは、円売って外貨を購入しなければならないということです。海外の取引はドルが主流なので、海外の企業に支払うために円を売ってドルに交換する企業が多かったことから、ドル安が進行したと考えられます。
今後の為替の見通し
アメリカのインフレは落ち着きを見せつつあり、2024年9月に、アメリカは政策金利の引き下げを始めました。一方、日本のインフレは継続していますが、欧米に比べると緩やかであることから、日本の政策金利が急速に上昇する可能性はほぼありません。
つまり日米の金利差は縮小する可能性が高いということになります。
またエネルギー価格の高騰も収束しつつあり、経常収支も2023年には改善傾向です。
金利差が縮小していること、エネルギー価格の高騰も収束していることから、今後はゆっくりと円高が進行する可能性が高いと考えられます。
為替レートが事業に与える影響
為替レートが円安、円高になると事業にどのような影響があるのでしょうか?輸出業と輸入業に分けて解説をします。
円安のケース
円安は輸出業にとってプラス、輸入業にマイナスの影響を与えます。
【輸出業のケース】
輸出業の場合、1ドル100円のとき海外の人は、300万円の車を3万ドルで購入できますが、円高で1ドル75円になると4万ドルを支払わなければなりません。
また海外で100万ドルの利益を稼いだ場合、1ドル100円のときに円に交換すれば1億円の利益ですが、1ドル75円のタイミングで円に交換すると7,500万円になってしまいます。
【輸入業のケース】
これまで、100ドルの原料を1ドル100円のときであれば1万円を支払っていましたが、円高で1ドル75円になることで7,500円で購入できるようになります。
為替が資金繰りに影響を与える要因
為替が資金繰りに影響を与える要因としては、以下のようなものが挙げられます。
・売上の減少
・仕入れ価格の高騰
・融資環境
輸出業や輸入業など、海外との取引がある企業は為替の影響を避けることはできません。輸出業の場合、円安局面では海外で自社商品が相対的に割安になるため売上が上昇し、円高になれば自社商品は相対的に割高になるため、売上が減少する可能性が高いでしょう。
海外から原材料や商品を仕入れて販売している企業は、円高になると利益が上昇し、円安になると利益が減少する傾向があります。
また金融機関で融資を受ける際、為替変動で売上や利益に大きく左右されていると、本業で稼ぐ力が弱いと判断され審査でマイナスに働く場合もあります。日ごろから為替変動で売上や利益が減少したときの対策は立てておきましょう。
具体的には、海外の販売比率を下げる、代わりの販売先や仕入先を検討するといった方法が考えられます。
資金繰りが悪化したときはファクタリングがおすすめ
2024年3月に日銀はマイナス金利を解除したことで、今後、銀行融資を受けるときの金利が上昇していく可能性があります。為替の影響などで資金繰りが悪化したときは、ファクタリングの利用も検討してみましょう。
ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に売却して入金日よりも早く資金化するサービスのことです。具体的には、取引先の請求書や納品書などを買い取ってもらい現金化します。
なお海外の取引先の請求書は、メガバンクの系列企業が扱っている「国際ファクタリング」を利用しなければなりません。
多くのファクタリング業者は国内取引専門のため、ここでは国内取引で生じた売掛金を買い取るファクタリングについて解説をします。
ファクタリングのメリット
ファクタリング会社にもよりますが、多くの場合即日買取に対応しています。Web完結可能なファクタリング会社であれば、店舗に訪問したり担当と面談する必要もありません。
またファクタリングを利用するには、ファクタリング会社の審査に通過しなければなりませんが、審査では取引先の信用が重視されます。
ファクタリングは買取代金が振り込まれたあと、取引先から入金された売掛金をファクタリング会社に返済しなければなりません。そのため、ファクタリング会社は、取引先が売掛金をちゃんと支払ってくれるかどうかを重視します。
赤字決算や債務超過など、一般的に銀行融資を受けるのが難しいケースでも、ファクタリングなら取引先の信用が良好であれば利用できる可能性があります。
ファクタリングを利用するときの注意点
ファクタリングは他の資金調達方法に比べて手数料が高い傾向があります。またファクタリングを利用していることが取引先に知られると、「手数料が高いファクタリングを利用せざるを得ないほど資金繰りに困っている会社」というイメージを持たれ取引関係に影響を与える可能性があります。
ただし債権譲渡登記不要としているファクタリング会社と、二社間ファクタリングの契約をすれば、取引先に知られることはありません。
債権譲渡登記とは、誰にいつ債権を譲渡したのか公的に証明できる書類のこと、二社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2社でファクタリング契約を締結する方法です。
二社間ファクタリングは、同じ売掛金を複数のファクタリング会社に売却して、複数社から買取代金をだまし取ろうとする悪質な利用者もいます。そのため東京法務局に確認すれば債権を譲渡した事実が確認できる債権譲渡登記を利用者に行ってもらうことで、自社が買い取った売掛金を他社が誤って買い取らないようにすることができます。
ただし債権譲渡登記をした売掛金は、東京法務局に確認をすれば譲渡されていることが分かってしまいます。取引先が
自社の売掛金について東京法務局に照会をかけるというケースはほとんどありませんが、債権譲渡登記をすると取引先にファクタリングの利用を知られる可能性がゼロではないことを理解しておきましょう。
為替の影響で資金繰りが悪化したらファクタリングをご検討ください。
輸出業者や輸入業者は、為替変動により売上や利益に影響が出ます。仮に為替の影響で資金繰りが悪化したら、ファクタリングの利用をご検討ください。
ファクタリングは即日現金化が可能で、赤字決算や債務超過であっても、取引先の信用が良好であれば利用できる可能性があります。
ファクタリング福岡は手数料が1.5%~と業界最高水準、申し込みから買取代金の振り込みまで最短3時間で対応しています。債権譲渡登記については、お客さまの状況に応じて柔軟に対応可能です。
対応エリアは、九州7県(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県)、中国5県(山口県・広島県・岡山県)、四国(高知県・徳島県・香川県・愛媛県)となっています。該当する地域でファクタリングの利用を希望する方は、「ファクタリング福岡」へ気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー:金子 賢司
1975年4月5日生まれ
1998年立教大学法学部法学科卒業
株式会社菱食(現三菱食品株式会社)に勤務
生命保険会社、損害保険会社を経てファイナンシャルプランナーとして活動中。
保有資格:FPの最上級資格CFP資格保有者
(CFPライセンス番号:90260739)
所属団体:日本FP協会
WEBサイト;https://fp-kane.com/