借りやすい事業資金とは?調達方法についても解説

事業資金は様々な方法で調達が可能です。ただし多くの場合、金利や手数料がかかる他、融資まで時間がかかるケースがあるため、自身の目的にあった方法を選ぶことが大切です。この記事では、事業資金を調達したい方むけに、7つの方法を紹介しています。自身にとって借りやすい事業資金の調達方法を知りたい方は参考にしてください。

事業資金の融資対象の種類と借りやすさ

事業資金とは事業の立ち上げや運営に必要な資金のことを指し、大きく「設備資金」「運転資金」「開業資金」に分けられます。

各事業資金の特徴や借りやすさについて解説します。

設備資金

設備や建物、車など形があるものに使用される経費のことです。トラックや機械設備など事業目的での利用が明らかな場合は事業資金を調達するためのローンとして認められます。しかし自宅の一室をリフォームする場合は、事業で利用する分しかローン対象になりません。また外車を購入するといったケースでは審査に通らない可能性があります。

運転資金

設備資金のように形がないことから、運転資金のほうが審査が厳しい傾向があります。確定申告書や決算内容から、経費や売掛期間、事業規模などの項目から判断して、最終的な融資の可否や融資額を審査します。

開業資金       

日本政策金融公庫「2022年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は1,077万円、中央値は550万円です。

開業資金は事業が軌道に乗るか見極めが難しいため、運転資金と同様、審査が厳しい傾向があります。多くの場合は地域密着の地方銀行や、日本政策金融公庫を活用することになるでしょう。

事業資金の調達方法6選

事業資金を調達する方法は数多くありますが、ここでは主に以下の6つを紹介します。

  • 銀行からの借り入れ
  • 日本政策金融公庫からの借り入れ
  • 補助金・助成金
  • セール・アンド・リースバック
  • ノンバンク系のビジネスローン
  • ファクタリング

銀行からの借り入れ

ほとんどの銀行で、ビジネスローンといった事業性融資を取り扱っています。プロパー融資ともいわれますが、一般的に銀行の審査は厳しい傾向があり、事業を通じて返済ができる根拠が確認できる根拠を示さなければなりません。

税理士が作成した決算書などの資料が用意できれば問題ありませんが、個人事業主の場合、すべて自身で行わなければならないため難しいケースもあるでしょう。

その場合は保証会社のあるビジネスローンを検討します。この場合、万が一、融資先が破綻した場合でも保証会社が保証するため、金融機関が融資をしやすくなる可能性があります。

ただし資料を用意して、返済できる根拠ある見通しを提示する必要がある点は銀行と同様です。

日本政策金融公庫からの借り入れ

日本政策金融公庫は民間金融機関の役割を補完し、事業に取り組む事業者を支援する目的で国が100%出資した政府系金融機関です。

特に創業時の融資を積極的に行っており、金利が低く・無保証・無担保で利用できます。また銀行融資が融資までに1~2ヶ月の期間を要するのに対し、日本政策金融公庫は3週間~1ヶ月程度で融資が受けられます。

補助金・助成金

企業や個人が行う事業を支援する目的で、主に国や地方公共団体から支給される資金のことです。融資のように担保や保証人を求められることがなく、金利もありませんが、申請や審査が必要になり必ず利用できるとは限りません。

また助成金は要件を満たしていれば高い確率で受け取れますが、補助金はあらかじめ採択件数や予算が決まっており、要件を満たしても受け取れない可能性があります。

数多くの補助金・助成金があるため、自社にあったものを選びましょう。申請する際は、専門家のアドバイスを受けながら、採択されるポイントを押さえた申請書類を作成することが大切です。

セール・アンド・リースバック

自社で所有する物件を一旦売却したあと、同じ物件についてリース契約を結び、引き続き同物件を利用する取引を指します。賃料の支払いが必要になるうえ、物件の所有権を失いますが、売却により手元資金が増加し、修繕費や固定資産税の支払いがなくなるといったメリットがあります。

ノンバンク系のビジネスローン

ノンバンクとは信販会社や消費者金融のように預金業務を扱っておらず、主に融資事業を取り扱う金融機関のことです。ノンバンク系のビジネスローンは、無担保・無保証で利用できる他、銀行のプロパー融資より審査に通りやすい傾向がある、即日融資が受けられるといったメリットがありますが、金利は比較的高めです。

不動産担保ローン

所有している不動産を担保に、借り入れる方法です。不動産の担保価値にもよりますが、比較的大きな金額を低金利で借りられる傾向があります。ただし担保不動産の価値を評価するために、早くても数日から1週間程度の期間が必要です。また万が一返済不能になれば、所有している不動産を売却して返済原資に充てなければならないため注意が必要です。

ファクタリング

借り入れや、補助金・助成金を活用して事業資金の調達が難しいときは、ファクタリングを検討してみましょう。ファクタリングとは売掛債権を売却して資金調達をする方法です。売掛先の業績や信用を重視して審査をしてもらえるため、自社の業績が悪くても、資金調達ができる可能性があります。またファクタリングは借り入れではないことから、バランスシート(賃借対照表)に負債として記録されません。そのため利用しても決算上、赤字が増えたり、個人の信用情報に影響を与えたりすることがありません。

ファクタリングは大きく2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分類できます。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングとは、自社の売掛債権をファクタリング会社に売却し、ファクタリング事業者から買取代金を受け取る方法です。その後、売掛先から売掛先が入金されたら、その金額をファクタリング会社に支払います。

2社間ファクタリングは、ファクタリングを利用していることを売掛先に知られないというメリットがあります。しかしファクタリング事業者にとっては、利用者が回収した売掛金が支払われないリスクが高いため、手数料が高い傾向があります。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、利用者がファクタリング事業者から買取代金を受け取るところまでは同じですが、売掛先が直接ファクタリング会社に売掛金を支払う方法です。2社間ファクタリングよりも、ファクタリング会社が未回収となるリスクが低いため手数料が抑えられている傾向があります。しかし売掛先にファクタリングを利用していることが知られてしまう他、現金化に時間がかかる場合があります。

事業資金を調達するときのポイント

事業資金を調達するときは、用途を明確にして、金利(手数料)や融資までの期間や、借入金額から現状にあった借り入れ方法を選ぶことが大切です。また資金調達をするためには、申請書類の作成や事業計画の策定などが必要になります。事業資金を調達するときは専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。

まとめ

事業資金を借り入れる場合、融資対象となる資金の種類や、調達先によって借りやすさが異なります。各借入先の金利(手数料)や融資までの期間を考慮して自身にあった方法を選ぶことが大切です。また借り入れや、補助金・助成金での事業資金の調達が難しいときは、ファクタリングの活用を検討してみましょう。ファクタリングは担保や保証人が不要、審査で自社よりも売掛先の信用情報が重視される、売掛債権の買い取りのため、負債にならないというメリットがあります。

ファクタリング福岡は福岡県に拠点を持ち、九州7県(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・長崎県)の他、山口県・広島県・岡山県も対応可能です。九州・中国地区でファクタリングによる資金調達を希望する方は、「ファクタリング福岡」へご相談ください。



1975年4月5日生まれ
1998年立教大学法学部法学科卒業
株式会社菱食(現三菱食品株式会社)に勤務
生命保険会社、損害保険会社を経てファイナンシャルプランナーとして活動中。

保有資格:FPの最上級資格CFP資格保有者
(CFPライセンス番号:90260739

所属団体:日本FP協会
WEBサイト;https://fp-kane.com/