ファクタリングの会計処理は?仕訳方法、勘定科目などについて解説

「ファクタリングを利用したんだけど、どう会計処理をすればいいの?」

「ファクタリングの仕訳方法や勘定科目がわからない」

経理担当者の中には、こうお悩みの方がいるかもしれません。

ファクタリングは融資と異なる資金調達方法であることから、融資の際の会計処理とは異なる方法で仕訳を行います。

今回のコラムではファクタリングの会計処理法や仕訳方法が気になるという方に向けて、どのように仕訳をすればいいかわかりやすく説明します。

●ファクタリング時の実際の会計処理方法

ファクタリングの会計処理ですが、実は非常に簡単です。

一言で言うと、「ファクタリング手数料を売上債権売却損で計上する」という点に注意すればよいのです。

具体的な仕訳を見ていきましょう。

100万円の売掛金をファクタリング手数料10%で現金化したときの仕訳は以下の通りです。

【商品・サービス販売時=売掛金発生時】

売掛金 1,000,000 売上 1,000,000

【ファクタリング利用時】

現金 900,000 売掛金 1,000,000
売上債権売却損 100,000

「売上債権売却損」という勘定科目は、会計ソフトによっては「売掛債権売却損」「売上債権譲渡損」「売掛債権譲渡損」という文言になっていることもあります。

どの勘定科目で計上しても間違いではありません。

また、どの勘定科目もない場合には、「雑損失」で計上してもOKです。

さらに、手形割引の際に使われる「割引料」(支払割引料、手形割引料とも)で仕訳しても実は特に問題ありません。

手形割引とファクタリングは確かに別物ではあるのですが、仕組みとしてはよく似ています。

割引料も売上債権売却損などもどちらも「営業外費用」であり、割引料で仕訳をして問題になることはまずありません。

(万が一指摘されたら次回から直せばよいのです)

●「未収金」などを利用した複雑な会計処理は基本的に不要

「ファクタリングを契約したときはまだファクタリング会社から入金がないのだから、いったん未収金で計上すべきでは?」

税務に詳しい人ならばそのように考える人もいるかもしれません。

実際、多くのファクタリング解説サイトではそのように解説されています。

実はまさにその通りです。

上記で紹介した仕訳は簡素化されたもので、実際は以下の通りとなります。

【商品・サービス販売時=売掛金発生時】

売掛金 1,000,000 売上 1,000,000

【ファクタリング契約時】

未収金 1,000,000 売掛金 1,000,000

【ファクタリング会社から入金された時】

現金 900,000 未収金 1,000,000
売上債権売却損 100,000    

特に3社間ファクタリングなど、契約から入金までにかなり期間があく場合はこのように仕訳をしておいた方がわかりやすくなるかもしれません。

ですが2社間ファクタリングのときは契約から入金までほとんど差がないため、このような仕訳は不要です。

さらに、3社間ファクタリングであっても、実は簡素な方の仕訳で問題ありません。

(つまりファクタリング契約をした段階で現金・売上債権売却損を借方に仕訳してよい)

いずれにしても結果は同じだからです。

税務署からどうこういわれることもないですし、むしろ税務や会計はわかりやすさを重視して行うべきです。

複雑になればなるほどミスが起こりやすくなるためです。

●ファクタリングを会計処理するとき、消費税はどうなる?

ファクタリング取引は「金銭債権の譲渡」にあたるため、非課税取引となります。

すなわち、ファクタリングの手数料(売上債権売却損)にも、ファクタリングで受け取った売掛金の売却代金にも消費税はかからないということになります。

上記具体例で言うと、下記の箇所は非課税となるので注意してください。

【商品・サービス販売時=売掛金発生時】

売掛金 1,000,000 売上(課税) 1,000,000

【ファクタリング利用時】

現金 900,000 売掛金(非課税) 1,000,000
売上債権売却損 (非課税) 100,000

また、ファクタリング会社と取引をしようとしている場合、手数料や売却代金の中に消費税という項目があったらそれはおかしいということになります。

悪質なファクタリング会社を見抜くためのポイントともなるため、覚えておきましょう。

●ファクタリング手数料は経費に算入できる

ファクタリングは融資と異なり売買契約であるため、手数料は経費に算入できます。

そのため、法人税の軽減に役立ちます。

●ファクタリングが賃借対照表(バランスシート)に与える影響

ファクタリングは賃借対照表(バランスシート)に良い影響を与えます。

企業会計を健全に見せることをオフバランス化といいますが、ファクタリングはオフバランス化に一役買ってくれます。

ファクタリングを利用すると売掛金が圧縮されバランスシートはスリム化されますし、借り入れのように負債が増えるわけではありません。

そのため、ROA(総資産利益率)や自己資本比率が改善され、見かけの財務状況は改善し、融資などは受けやすくなることもあります。

ただオフバランス化を目的としてファクタリングを利用する経営者はそこまで多くありません。

なぜならば手数料という形で利益は減ってしまうためです。

オフバランス化ができるというのは確かにメリットですが、限定的なメリットです。

金利で言うと銀行融資の方が低金利であるため、ファクタリングのメリットは迅速性や審査の通りやすさなども合わせた点にあるといえるでしょう。

●まとめ:ファクタリングの会計処理は簡単

今回のコラムでは

  • ファクタリングを会計処理するときは手数料を「売上債権売却損」などで計上すればよいだけ
  • 会計処理は簡素に行ってよい
  • ファクタリングはオフバランス化を進めてくれるというメリットもある

といった点について解説しました。

最初は混乱するかもしれませんが、一度仕訳をしてみれば難しくないのがわかるでしょう。

経理担当の方はぜひ参考にしてみてくださいね。

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